年明けの新聞の連載記事に出ていたのですが。
サヴァンと呼ばれる人々について。
賢者、博識といった知的な意味を持つ言葉でくくられた
サヴァン症候群と呼ばれる特異な能力を持つ知的障害者を
サヴァンと呼びます。
サヴァン症候群 - Wikipedia画家・山下清もそうで有ったと言われており、特に
記憶力が常人とは全然違うレベルで凄い人が多く、
物理学者のアインシュタインや作曲家のモーツァルト
、発明王エジソンなども奇行やアンバランスな性格が
知られており、やはりなんらかの関係が有ると言われて
います。
対人関係が苦手で自閉症と診断される事も多いそうです。
この症候群の話から「バカの壁」などの著者、養老孟司氏が
興味深い事をおっしゃっていました。
養老孟司 - Wikipediaサヴァンは知的障害が「あるにもかかわらず」ではなく、
「あるからこそ」能力を発揮できる。
アラン・スナイダー豪シドニー大教授(脳科学)は
「人はみな同様の能力を潜在的に持つが普段は封じ込めて
いる」とみています。
サヴァンの場合は障害のためにカギが外れ、脳が飲み込んだ
情報を抽象化も取捨選択もしないで生の状態で出し入れ
出来ているという説です。
実際、脳機能の一部を抑える実験でサヴァン的才能が
現れたそうです。
ここから脳の専門家である養老孟司氏は、自説を展開します。
人間の脳は言葉を話し、聞き、かつ読み書きも出来ます。
一方、サヴァン症候群の人達にとってはこの聴覚と視覚の
間の連携が上手くいきません。
だから音楽(聴覚)や絵画(視覚)など単体で突出した
能力が現れます。
他人とのコミュニケーションも同じくうまくいきません。
サヴァンの脳は異質な部位の連合ができないだけで
恐らく特別な物ではありません。。
ということは、誰の脳でもフルに使えばそういう能力が
発揮出来るという事になります。
ですが、我々は自分の脳のことを意識のもとですべて
把握している訳では有りません。
ところが現代人は脳で考えた事のみ、意識を中心にして
論理によって組み立てて来た文明、都市で有りそれらが
「脳化社会」です。
そこでは「脳も体の一部に過ぎず、無意識が人間の
行動を左右している」という重要な事実が忘れられています。
所詮、人間も生物であり、本能という物に支配されていて
自分で把握している脳の事は少ないです。
意識より自分の説明しきれない好き嫌いで物を判断する
事もその一つです。
生物はもともと、次の瞬間にどう動くか決まっていなくて、
最も抵抗無く次の行動に移れるのは、ふわっとした状態、
つまり力が抜けている状態です。
剣の極意に「心をどこにも置くな」という教えが有り、
相手や自分の剣に集中しピンと意識が張っている状態では
なく、無心で構えている一見無防備な状態が即ち
「隙がない」状態で、日本人は古来、無意識の重要性を
良く知っていました。
しかし、現代の日本においてはそうではなくなって
しまったと。
キリスト教、ユダヤ教、イスラム教は同じ神を信じる、
一神教で、特にキリスト教とユダヤ教は世界の共通基盤
で有る「旧約聖書」のもとに成り立っています。
天地創造という始まりと、最後の審判という終わりが
決まっていて、すべての死者は最後に神の前で裁かれる。
だから「普遍の自我」という概念が、文化の根本に
据え付けられてしまっています。
対照的に、禅宗などは昔から「自我を捨てろ」と
説いていて、無我で良かったのに、日本人は西欧流の
自我を輸入し、「頭で考えればなんでも解決する」
「みんな自我を持っている」と錯覚してしまいました。
この連載は日本の知力というタイトルでして、
連載の初回を取ってはあるのですがまだ
読んでいないので連載の趣旨を私は分かっていません。
が多分、タイトルからして、現在の崩壊したと言われる
教育と相対的にも国際的に順位が下がっている
日本の子供の学力と、資源のない日本が何を持って
国際競争力を持って生き残っていくか。
と考えたら「知力」しか無いわけで、それらについての
連載だと思います。
そう連載の命題を仮定した上で養老孟司氏は。
最後に、人間の知性を考える時に、体や無意識を
含めずに考えても意味がない。
知性とはそいういう総合的なものだろう、
と締めくくっています。
当然サヴァンの事も踏まえてです。
ここには、古来からの「日本人の脳」という物を
学者的に考え、昔は良かったというただ漠然とした
考えではなく、意識、無意識というフロイトや
ユングなどの「無意識」も想像させるような事を
提起しているのかなと思いました。
高校の授業で多少、ユングやフロイトは出て来ました。
世界史でもその著名な理論や著書について少し
知っているぐらいで、心理学や哲学などには
基本的にはそんなに興味はないので詳しくは
知りません。
ですが一般常識の範囲で知っていても良い内容ですので
いつかは少し勉強したいと思っていたので、
時間のある時にこれらについてもっと調べてみようと
思います。
ジークムント・フロイト - Wikipedia前意識 - Wikipediaカール・グスタフ・ユング - Wikipedia集合的無意識 - Wikipediaフロイト 無意識 - Google 検索ユング 無意識 - Google 検索これらの事に興味を持ったきっかけは大学受験時の
浪人時に駿河台予備校に通っていた時に受けた先生の
おかげです。
未だに詳しく調べてないので身には付いていないのですが…
これら予備校時の時については後日書きます。